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中尾浩之監督インタビューINTERVIEWSSep.01,2015

これまでの制作手法に関して

「スチーム係長」がMTV Station-IDコンテストにてグランプリを受賞したのが98年。
ちょうど『タイタニック』が大ヒットした年です。

98年当時と比べて最近では技術は進みCGが多用される事は増えましたが、もともと中尾監督の作品は、脚本や演出、描写の根底の構想の際に「実写とCGの融合」がきちんと埋め込まれていると感じるのですが、監督にとってCGとはどんなツールなのでしょうか?

中尾:CGが使えるからアイデアを出すという訳ではなく、最終的に最良の選択肢としてCGがあるんですね。
例えばマペットが良ければマペットを採用しますし、マッドペインティングが良ければそうしたり。
CGがあるからCGのための映画をつくろうと僕はあんまり考えていない。

その時々でCGが一番適していると思う時に用いるツールです。実際『タイムスクープハンター』の弓矢のシーンでは、全部CGの時もあれば、実写の時もあったり、どういう絵にするかによって使い分けてました。

―――ライブメーションについて

(今でいうと「進撃の巨人」のような)必要な部分をCGにするという事ではなく、実写とCGを融合するという作品制作に改めて監督のオリジナリティを感じますが?

中尾:スチーム係長は、最初からああいったCGテクニックを使ってみようと考えていたわけではなくて、もともとは実写でやろうと考えていたんです。今だったら自主映画でもカメラなど機材がいいものがあるので、プロとそんなに変わらないハイクオリティの映像を撮ることができると思うんですが、昔はなかなか難しかった。

たとえローバジェットでストーリーが面白くても、なんていうか中々目立つことができなかった。
でもやるからには全世界の人に見てもらえるレベルにしなければと思い、それでああいったCGでも実写でもないものをやってみたら、どこにもない面白い映像ができるんじゃないかと、ある種、苦肉の策としてできたスタイルだったんです。

スタイルが確立でされれば世界的な土俵にも立てるかなと、実験的にやってみたものが、結果的に評価してもらえるものになったと思います。

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具体的にはどんな手法をとっていたんですか?

目から光線が出る絵をつくりたかったら、フィルムに1枚1枚線を入れて、それを連続させる事で光線に見せるみたいな単純な手法を良く使っていたんです。

そのアナログ的なアイデアを元にしたわけです。独特な色使いをしたり。階調をおとすのも手法の一つで、限られた色だけ用いてパレット数を少なくする事で雰囲気を持たせようとしました。色数を増やすとリアル方向に行ってしまい、ハイクオリティのCGと似た印象になってきてしまうので差別化が図れない。
なのでああいう色使いをしているんです。

作品を作る時に心掛けている事

―――ストーリーなどや人物描写について

『タイムスクープハンター』主演の要潤さんと出会うきっかけとなったショートフィルム『The Secret Show』では、カツラと自転車便という題材を通してスマートな笑いテンポの良さを感じたのですが、ああいった「笑い」脚本でこだわっていたり、気を使われている事は?

中尾:やっぱり感じていただいたように、テンポとリズムですね。それはストーリーだったり、編集やアングル調整、役者の芝居リズムなど、そういった全体のテンポ感をいつも重要視しています。
それが少しでもずれると、「笑い」にも、「感動」にも、「サスペンス」にもならなくなってしまうので。

どの作品を通じても「笑い」の要素を感じるのですが、「タイムスクープハンター」では一転、要さん演じる主人公ふくめトーンはとてもシャープでスタイリッシュさを感じますが?

中尾:「笑い」というのも一つの感情表現なので、感情として「笑い」だけでなく映像としてエモーショナルなものをお客さんに楽しんでもらえたらとも思ってるんです。
他のどの作品でも共通して、映像的にエモーショナルな体験をして欲しい、堪能して欲しいと思ってやってます。
『The Secret Show』はショートショート フィルムフェスティバルという場が、みんなで笑ってもらうのに相応しい環境だと考えたので、「笑い」というジャンルを選択したでんす。

この作品を通して観る人伝えたかったテーマや想いは何だったのでしょうか?

中尾:時代劇って有名な人が描かれる事があっても、その市井の人の視点で描かれるものはほとんどない。
学校の歴史の授業にしてもそう。でも当然昔にも僕らと同じように生きていた人がいて、そういう人たちがいたから今の僕たちが生きているっていう、地続きになっているって事を絵として作りたかったんです。
昔からそういうテーマに興味もあったし、そこに時空を超えてありえないものを混ぜ合わせたら面白いものになるんじゃないかなと思ったんです。

昔から持たれている構想なんですね?

中尾:そうですね。時代劇は昔からやりたいとも思っていて、そこに戦場カメラマンみたいなビデオジャーナリストが戦国時代の合戦シーンを撮ったら、今までにない面白いものができるんじゃないかなっていう構想は前から持ってました。

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