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渡邊世紀監督インタビューINTERVIEWSOct.01,2015

日本映画と海外映画を比べて

大きく違うと感じる点は?

内容というより、作り方の違いで、映画から受ける印象が全く違う感じがします。
例えば台詞の収録に関して言うと、日本は主に同時録音ですが、海外では全編アフレコの作品がたくさんありますね。

映像に関しても、海外はカラーグレーディングなどでの世界観の作り込み方が半端なく凄い。
最先端のCG技術や音響システムは置いといて、映画の世界観に入り込みやすい画の質感と、純粋に聞き取りやすいクリアな音と台詞、これを持っているのは間違いなく海外の作品です。

この差は技術レベルの差だと思っていましたが、どうやら考え方の違いが大きいようです。

日本人は元々、素材の良さを生かす。映画で言うと、ありのままを撮りたいという考えが強いと思います。
僕自身、芝居が生まれるその瞬間の役者さんたちの声や息遣いが欲しいので、同時録音の方が好きです。

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それに対して、ハリウッドや多くの海外の国では、最初から映画を作りものと考え、徹底的に作りこむことでより観客に伝わるものに仕上げようとしていると思います。

先ほどの「生もの」と「虚構」の話にも繋がりますが、その考え方の違いから、新しい技術が生まれる環境にも差が出ている気がします。

他にも、照明に関して言うと、僕はアメリカで生活していたので特にわかるのですが、日常生活から照明が違う。現代の日本は天井の蛍光灯が照らす直接照明が多いですが、アメリカはほとんどスタンドなどの灯りを天井にあてて跳ね返す間接照明です。

日常生活にすでに陰影があるので映画においてさらに世界観を作り込める。でも日本の直接照明の生活を映像で作り込んで陰影をつけようとすると、リアリティーがないということになってしまう。

フラットで奥行きの感じられない部屋が一番リアルということになってしまうわけです。
それでも中島哲也監督のように日本の生活のイメージを覆すようなドラマチックな作り込みをされている方もいらっしゃいますね。

で、自分がどういうスタンスを取りたいかと言うと、素材の良さを生かす、という考えに代表される日本人の精神性を、作り込んだ虚構の世界で伝えたいという、いいとこ取りの一番ズルい?ところです(笑)

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